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仙台高等裁判所秋田支部 昭和24年(を)31号 判決 1949年11月07日

被告人

赤沢賢之助

主文

本件控訴を棄却する。

理由

弁護人の控訴趣意の要旨は、「原判決は、その認定した窃盜事実の証拠として被告人の原審における自白と佐藤信一作成の盜難届中右窃盜の被害事実の記載を挙げているけれども、公訴の犯罪事実を認定するには自白以外の証拠によつて独立してこれを認定することができる場合でなければならない。これは、憲法第三十八條の規定によつて明瞭であるしかるに、右佐藤信一作成の盜難届の記載だけでは、原判決認定の犯罪事実を認定することができない」というのである。

案ずるに犯罪事実を認定するについて被告人の自白の外に補強証拠を要するとの趣旨は、被告人の自白だけによつて客観的に架空な事実が犯罪としてつくり上げられる危險を防止するにあるのであつて、その補強証拠によつて独立してその犯罪事実全部を認定できることを要しない。本件において原判決は、被告人の原審における自白とその補強証拠である前記盜難届の記載を綜合して窃盜の事実を認定しており、その認定は相当であつて所論のような違法はない。

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